HIRAETH 311 Experience

会員

愛媛県当事者支援団体

NPO法人 えひめ311

副代表理事兼事務局長 澤上幸子

愛媛県松山市生まれ。結婚を機に福島県双葉郡双葉町で暮らす。震災前は、家族9人で兼業農家をしながら、地元の社会福祉協議会で働く。震災後は、愛媛県松山市へ家族4人で避難。避難後、NPO法人えひめ311の立ち上げ四国内の避難者支援活動を始める。

いざという時に思い出してもらえる存在でいたい

愛媛県内だけでなく四国内の避難者の方々を対象として、避難者を支える活動を中心に活動をしています。主な活動内容は、電話やメール、SNSを使った相談業務を始め、避難者同士や地域住民とのつながりづくりを行う交流会「おせったい訪問」と名付けた個別訪問事業です。避難者の方々が困ったときに、頭の中に浮かぶ存在となることを特に大切にしながら活動しています。避難者の方々が「困った!」と思った時に「あ!えひめ311っていう団体あったよな。連絡してみよう!」と思える存在になれればと思っています。これからも避難者の少ない四国内でなんとか避難者の方々のとのつながりを継続していけるよう活動をしていきたいと考えています。

団体存続の意味を考えるほどの落胆

2012年に個人情報の提供が受けれないか愛媛県へ要望しましたが叶わず、個人情報は守るべきものだと思いつつも、支援対象者が見えないまま支援活動始めることとなり壁を感じました。また、その頃〜2013年はメディアに注目されすぎて、取材依頼に追われました。避難者への広報になればと思い、取材も受けていましたが、支援の格差や避難者へのバッシング問題などが生じてしまい、結果、避難者同士の分断が起こってしまいました。

2018年には西日本豪雨災害が発災しました。今までの活動を活かそうと支援活動に加わり、それはとても良かったことでしたが、今まで開催していた東日本大震災の避難者支援に関する行政やNPOを含めた情報交換会が終了するなど、行政や社協の東日本大震災の避難者支援活動が一気に次の災害へとベクトルが動いたのを実感しました。また、関わりの大きかった避難者の自死といった無念なことも起こり、「今までの支援活動は、何だったんだろう?」とスタッフ一同が困惑しました。活動を見直す必要性を感じましたが、落胆も大きくて団体を存続する意味や必要とされているのかなど考える機会となりました。また、ほかの避難者への動揺も大きく、コロナウイルスもありメンタル不調を訴える避難者からの相談を受けることとなりました。

当事者団体の強みを活かしながらアウトリーチ型見守り支援を継続

行政には、ワンストップ相談窓口は最低でも続けていってほしいと思います。継続すべき支援は、アウトリーチ型見守り支援だと考えています。避難者の少ない四国内では、避難者同士が集まるなどは難しいので、当団体が個別訪問し、つながりを継続していくことが必要だと思っています。

私たちは、当事者団体という強みを大きく表に出して活動していきたいです。どうしても避難先と避難元を比べて「やっぱり、福島がいいな…」「冬は寒くないとだめだ…」など望郷の念を語ることができるのも当事者の私たちが何も否定せず「うん、うん」とうなずくことができるからかもしれません。語れる場づくりも続けながら、いざという時に思い出してもらう存在になれるようになりたいと思っています。そしてこの東日本大震災の支援活動の軌跡が消えないように、次の災害にリレーされ、活かされるように願っています。

連絡先

NPO法人 えひめ311

〒790-0871 愛媛県松山市東一万町2第3森ビル
Tel: 070-5515-2217
Mail: ehime311@yahoo.co.jp
http://ehime311.official.jp