HIRAETH 311 Experience

会員

広島県当事者支援団体

ひろしま避難者の会 アスチカ

代表 三浦 綾(ヒラエス個人正会員)

福島県いわき市で被災。広島県広島市へ母子にて避難後、避難者支援団体「アスチカ」設立。いわき市でも子育て支援団体「Wendy」の代表として13年目となる。震災後は両県を行き来して活動を継続している。

生活者として地域に馴染んでいく姿を思い描きながらつながりを築く

「アスチカ」は明日へすすむ力を育み、次のステップに踏み出すという意味を込め、当事者による当事者の会として設立しました。会員は、避難元に関わらず震災を機に広島を避難先に選んだ当事者のみで構成されており、支援者など当事者以外の方へは「アスチカサポートチーム」として必要に応じて協力をお願いしています。2014年に事務所を開設してからは、「会員がいつでも立ち寄れる」「それぞれが抱える悩みや不安を日常的に支える」「避難者だけの場にせず地域コミュニティの場にもなる」ことを意識しながら活動してきました。

また、「伝えること」「知ること」「備えること」も大切に、会員が必要とする避難元や広島の情報収集に努め、会員のみに向けた「アスチカニュース」、地域支援者や住民向けの「アスチカとぴっくす」の発行(毎月)にも注力してきました。会を設立したときに「目標は会員がゼロになること」と公言しましたが、現在でも会員数は340名ほどをキープしたまま震災から10年を迎えることになります。永久的に公的支援が続くという期待はしていませんし、災害の枠を越えた地域とのつながりを築くことを大切に活動し、いつかアスチカが終わる日に、生活者として地域に馴染んでいる会員の姿をいつも思い描いています。

何もつながりのない土地でゼロから始める難しさ

広島に避難したことで出会えた仲間とともに、知らない土地で頼れる人もおらず、ボランティアの方へどう頼ればいいのかも分からない状況から始まりました。正式に団体を設立後、広島市のボランティア団体の登録をしました。つながりのない広島では市社協や支援関係者が頼りでさまざまなつながりを作ってもらったり、活動へのアドバイスをもらいながら会を運営してきました。当初は活動費も会員が集う場所もなく、会員数は増えていくのに事前に日を決めて社協を借りないと集まることができず、タイムリーに会員が抱えている相談事を聞いてあげられないことも課題だと感じていました。そこで活動拠点の開設を目標にして募金活動に歩き、2014年6月に事務所併設のコミュニティースペースのオープンに至りました。ホッとしたのもつかの間、直後に広島土砂災害が発災、これまで当会を支えてくださった方々もそちらの支援に移行し、会の運営にはマンパワーが足りなくなってしまいました。相談対応には会員の状況を理解していることが必須だったため、当会の会員と震災に関りのある支援団体に新たに声をかけ、スタッフ協力をいただきましたが、支援団体の方も、本業を持ってボランティアで活躍されている方が多く時間も制限があり、気を遣いました。活動の中心のスタッフも当事者ですので、会の活動と並行して仕事を得るなど、スタッフ自身の生活再建も大切にしてもらっています。

地域資源と連携して作ったサポートの仕組みを活かして

被災地を離れ、同じ土地に避難した震災を経験した者同士というだけのつながりから団体を設立した場合には、連携する先や仕組みがないことで苦労します。当会では、団体設立時より継続して、行政、社協、地域の支援団体、弁護士や臨床心理士などさまざまな地域資源や支援者とつながりを広げ、相談から解決までの流れの仕組みを作りました。相談事にあわせた窓口へ当会から直接連絡ができるようになり、少しずつ相談窓口リストも増えています。これからもこの仕組みを活用して相談者に対応しながらつないだ後の報告や経過見守り、状況の共有も大切に活動していきたいです。

連絡先

ひろしま避難者の会 アスチカ

〒733-0003
広島県広島市西区三篠町2丁目15-5
Tel: 082-962-8124
Mail: hiroshima.hinan@gmail.com
http://hiroshimahinanshanokai-asuchika.com