HIRAETH 311 Experience

会員

沖縄県当事者支援団体

沖縄じゃんがら会

代表 桜井野亜
事務局 宮崎浩枝
事務局 井上飛鳥

沖縄じゃんがら会は当事者団体として2012年3月に発足。避難元に関わらず沖縄に避難の経験をした方々の支援を行なっている。会員数386名(R3年1月現在)。

自分を気にかけてくれる人がいる その安心感が日々を支える土台となる

経験を語り合いながら一緒に泣き、心配事や不安を分け合う中で人と人とが繋がることの重要性を実感し、その語りの中からそれぞれの喪失体験が様々であることを知りました。夫や家族、大切な人との死別や離別、理解されない放射能への恐怖。中でもコミュニティや仕事、自己肯定感の喪失はその輪郭がすぐにははっきりせず、アイデンティティの喪失として複雑な心理状態を顕在化させました。それぞれがそれまで大切に守ってきたものが突然に壊れ、混とんとした状況が続く中、一方で人生を前に進めようとする当事者の存在もありました。「一人ひとりの背景も価値観もすべて違う」と感じたとき、何を大切にしなければいけないのかが見えた気がします。そして、右も左も分からずに降り立った新天地にも「知り合いがいる」という安心感は何物にも代えがたく、近況を伝えあう人がいるという当たり前のことに日々の生活を支える重要なヒントがあるのだと判りました。

支援者の心を動かすカギとは

当初の活動は当事者のニーズは拾いながらも長期のビジョンを描くことができず、ピアサポートの立場からのアプローチで気持ちの共感や受容を行いながら目の前で起きる事態や悲しみに都度、必死に対処するしかできませんでした。そのような状況が続く中、2014年には会員ではない避難者の方が自死に至ったことを知り、この混迷の中で起きる出来事をなんとしても変えていかなければならないと強く感じ地域や専門機関と連携した相談支援体制の構築(支援ネットワーク事業)をはじめました。

最初にぶち当たったのは、避難者支援への理解と個人情報の壁です。支援者の心を動かすには明確なビジョンを伝えることが肝要で個人情報を取得して安全に共有することは支援の対象が明確になり、支援者の気持ちを具体的行動につなげるために必要不可欠な要素でした。

また、内部においては支援者の立場を希望する避難者の方がキャパオーバーとなってしまう事がままあり、内部のケアと支援の両立が困難でプライベートと活動の境目が曖昧となってしまった時期もありました。「やりたい」と「できる」は違います。支援者のメンタル保護には、人の人生にかかわるという覚悟や個人の資質を事前に確認することも必要なのだと学びました。

これらの反省点から自分自身も相談員として自己研鑽を積み、仕事とプライベートのすみ分けを意識することや会の運営においては職務分掌やルール決めを行い、それまで以上にコンセンサスをとることを大事にすることで、団体の活動が徐々に安定してきたように思います。

人生の文脈を知り、潜在的な力を支える

公的機関と民間ができる支援にはそれぞれ得意分野があります。現在は長期の生活基盤を包括的に支えることは公的支援でしか叶わず、丁寧に寄り添った支援は民間でしか行えません。しかし受益者は一人です。複合的な課題を抱える相談者に対し、各種の窓口が相互関係を持ちながら支援体制を整えることが重要であると考えます。

また当会においては発足当初から孤立しがちな方々の訪問を行い、話を聞いてきました。一方で交流会などに参加する方々の様子にも目配りを怠らないよう意識しつつ、これまで避難者が講師となり開催する勉強会やワークショップを支える「自立(律)支援事業」も実施してきました。その中で見えてきたことは、人が潜在的に持つ力を支えることの意義とその有用性です。一人ひとりが自分らしい人生を歩むことは、その人にしか成しえません。「その人が大事にするヒト、モノ、コト、歴史、信念をいかに理解するか」。しかし、それは語られないかぎり知ることはできないのです。だからこそ傾聴することが大事なのだと思います。

連絡先

沖縄じゃんがら会

〒901-2121 沖縄県浦添市内間2丁目10-8
Tel: 080-6498-6720
相談電話: 070-5484-1125
Mail: jangara31@yahoo.co.jp
http://jangara.net/