HIRAETH 311 Experience

会員

愛知県、岐阜県、三重県支援団体

認定NPO法人 レスキューストックヤード

当事者の生の声を大切に共に歩んでいきたい

レスキューストックヤード(以下:RSY)は災害救援NPOであり、どの被災地であっても当事者の「生の声」を大切にして支援活動を展開しており、広域避難者支援も同様です。運営を受託している官設民営の「愛知県被災者支援センター(以下:支援センター)」の交流会では、当初は原発事故による避難者の参加がほとんどでしたが、「津波避難者を忘れていませんか」という声から始まった岩手・宮城交流会や避難元・避難先それぞれの地区ごとの交流会など、当事者の声をもとに多様な交流会を開催してきました。

交流会等には参加されない方もいるため、「声なき声」があるのではと、個別訪問や電話等でこちらからおせっかいでも声をかけることも大切にしています。支援センターでは2014年度に全戸個別訪問を行いましたが、保健師さんと一緒に訪問することで、訪問先の方に安心感を与えつつ、スタッフだけでは聞けない声も聞くことができたと思います。行政や社協、専門家等と一緒に当事者の声を聴くことで、様々な視点から状況を把握することができ、支援の選択肢も増えたので、多様な連携があることも大切だと感じています。

また、避難生活で様々なことを我慢している子どもの声を聴いたことから、東海3県に避難した子ども達から「身近な願いや将来の夢」をテーマに作文や絵を募り、夢を叶えるために必要なものを贈呈する「FOR子ども支援基金」も2015年から5年間実施しました。これまで子どもや若者の声を直接聴くということはあまり多くありませんでしたが、震災から10年が経過し、当時のことや今の想いを今なら話せるという人もいるのではと思っています。今後は当時子どもだった世代の声にもこれまで以上に注力していきたいと考えています。家族の中でも震災や避難に対する考えや思いはそれぞれ異なりますし、一人ひとりにあった方法や関わり方で共に歩んでいければと思います。

地域による支援格差と個人情報の壁

東海3県には現在、約1,400名が避難登録されています。愛知県は2011年から官設民営の支援センターを設置しており、RSYは運営団体として支援活動を継続しています。避難者名簿も共有されているため、全世帯へのアウトリーチ支援も可能です。一方、岐阜県や三重県では何ヶ所かの地域で民間支援団体による支援は行われていますが、全県支援が可能な団体は殆どなく、地域によっては支援がない場合もあります。避難先の県や市町村で受けられる支援が異なり、支援格差が生じていることは、課題に感じています。

また、2016年度より福島県が全国26ヶ所に設置している生活再建支援拠点の岐阜県と三重県を担当していますが、名簿もない中での支援拠点のスタートは、非常に厳しいものがありました。交流会やFOR子ども支援基金等の活動を通して、少しずつ当事者とのつながりをつくっていますが、把握できている世帯には限りがあり、誰にも「助けて」と言うことができず孤立している方がいるのではということが心配されます。

避難者の背景や状況を把握、理解し必要な支援の継続を

暮らしの再建が進んだ方がいる一方で、心身の健康や経済的に深刻な課題を抱えている方や今後の見通しが立てられず、宙ぶらりんで不安定なままの状態である方もいます。そうした方々の状況を支援団体が代弁しつつ地域での理解者や支援者を増やしていく活動は、今後も息長く継続していく必要があると感じています。何かあった時に相談できる先があるというだけでも、心の拠り所になるのではと思います。

また、定住すると決めた方であっても、故郷や、そこにいる大切な家族友人等とつながり続けたいという思いを持っていたり、いつかは帰りたいと思っている人もいます。どこにいても故郷や馴染みある場所・人とのつながりを感じられるように、情報のやりとりや行き来ができる避難元とのつながり支援が続くといいと思います。さらに原発事故による健康被害や不安は、今後も長く続いていく課題です。そのため、甲状腺エコー検診や健康不安に関する支援を続け、自分の健康状況を確認できたり、不安を医師等に相談できる体制はこれからも必要であると思います。

連絡先

認定NPO法人 レスキューストックヤード

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Mail: info@rsy-nagoya.com
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